サッカー熱・霧が出る球場…山梨学院、「後進県」の劣等感振り払った

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安藤仙一朗
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 (1日、第95回記念選抜高校野球大会決勝 山梨学院7―3兵庫・報徳学園)

 山梨勢の悲願を大きく引き寄せる大飛球が舞い上がった。

 2点を追う五回、5点を奪ってなお、2死二塁。山梨学院の5番・佐仲大輝は高めの直球を完璧にとらえ、左翼席へ放り込んだ。「報徳学園は逆転で勝ってきていたので、もっと点が取りたいなと思っていた」

 準決勝で大阪桐蔭相手に5点差をひっくり返した報徳学園のお株を奪うような逆転劇をホームランで締めくくった。

 山梨は野球熱の高いと言える土地ではなかった。

 昨夏までの選抜、全国選手権での通算勝利数67(83敗)は47都道府県で下から14番目。山形、富山、島根とともに選抜、全国選手権を通じて決勝に進んだことがない4県の一つだった。

 むしろ高いのはサッカー熱。県立の韮崎は古くから強豪として知られ、元日本代表の中田英寿さんらが輩出している。

 昨年10月には、J2のヴァンフォーレ甲府天皇杯で初優勝した。決勝当日、神奈川の日産スタジアムには約2万人の甲府サポーターが詰めかけ、後日、県庁で開かれた優勝報告会の観覧希望者はわずか5分で定員の700人に達した。

 山梨学院ではサッカー部が全国選手権で2度優勝し、駅伝部も全国高校駅伝で2013年に初優勝を遂げた。

「野球だけが…」

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