五回に勢い加速 山梨学院、大舞台で「自分たちの野球」貫き通した
(1日、第95回記念選抜高校野球大会決勝 山梨学院7―3兵庫・報徳学園)
大一番でも、やるべきことは変わらなかった。
山梨学院は0―2の五回、1死二、三塁を築いて9番の伊藤光輝。「もうチャンスはこない。自分が打てば流れは来る」。最初のストライクを捉えて左前に運ぶ2点適時打とした。
加速する。徳弘太陽が初球を中前にはじき返し、続く星野泰輝は「とにかく後ろにつなぐ」と外角低めのチェンジアップに食らいつく。勝ち越しの適時打を左前に運んだ。
追い込まれる前に積極的に振りにいく。中堅方向に強い打球を打つ。つなぐ意識が佐仲大輝の2ランを含む集中打を生み、この回一挙7点。流れを奪った。
山梨学院は準々決勝でも7得点、準決勝でも5得点のビッグイニングをつくった。「どの相手でも、どんな展開でも、自分たちの野球をする」と主将の進藤天。揺るがぬ精神力はどこからくるのか。
吉田洸二監督は清峰(長崎)時代、丸太を使った厳しい練習で県立校を強豪に育て上げた。山梨学院でもこの冬は長崎と学校の二手に分かれて、丸太ダッシュや丸太押しなどで鍛えあげた。
勢いに乗る報徳学園に挑んだこの日、「点を取られることは覚悟していた」と進藤。2点を先行されても、後ろ向きになる選手は皆無だった。丸太のような腕で、ここぞの場面でバットを振り、一気に得点を重ねた。
自分たちは挑戦者だと、持っている力を出し切ることをテーマにこの大会に挑んだ。そして、県勢初の頂点に立った。
星野は試合後、「うれしいけど、まだ実感がわいていない。まさか自分たちが優勝するとは思っていなかった」と笑った。甲子園には3季連続出場と、もともと地力はあったチーム。自分たちの野球を貫き通した結果は、満足感にあふれていた。(佐藤祐生)
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○佐仲大輝(山) 五回に2点本塁打。「体を開かずにミートする意識で打った。左翼の頭を越えるかなと思ったけど、本塁打になるとは思わなかった」
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