岸田首相、力と怖さのどちらの比重が上か 衆院解散の「専権事項」
日曜に想う 曽我豪編集委員
解散は首相の専権事項と人はいう。
ただ、何でもそうだが、本当の力や怖さは、体験してみないとわからない。
ひとたび行使するや、衆院議員は全員失職し、総選挙を経て政権にも安堵(あんど)から劣化・消滅まで両極の結果を生む。いやそれ以前に、解散風の吹き具合が政権の力を正確に示すバロメーターとなる。
野党がおののけば、求心力を確保する当座の目的は達せられよう。解散上等と逆襲されれば、自らのレームダック(死に体)化が暴かれかねない。
この20年で言えば、専権の力を実感したのは、郵政解散により自民党内の反対勢力を駆逐した小泉純一郎首相と、長期政権への道を2度安定させた第2期の安倍晋三首相だろう。逆に怖さを痛感したのは、追い込まれ解散の結果、それぞれ自らの政権を消滅させた麻生太郎、野田佳彦両首相に違いない。
問題は岸田文雄首相だ。いま頭の中で力と怖さのどちらの比重が上か。
周辺の証言によると、楽観的らしい。
首相は強気だ、解散権を失う…