元横綱稀勢の里、笑顔でハイタッチ 「地元に恩返しを」決意新たに
茨城県牛久市出身で、大相撲の元横綱稀勢の里だった二所ノ関親方(36)が2日、相撲部屋を構える同県阿見町の「あみさくらまつり」に参加した。「応援していただいていると改めて感じ、とてもうれしかった。強い力士を育てて、地元に恩を返したい」と決意を新たにした。
二所ノ関親方は、中学卒業まで同町近隣の龍ケ崎市や牛久市で育った。角界では優勝2度。久しぶりの日本出身横綱として人気を博した。
2019年1月の初場所中に現役を引退し、昨年6月、同町に部屋を開いた。住民に稽古を見学してもらったり、ちゃんこ鍋を振る舞ったりと地域との交流を検討していたが、コロナ下で実現してこなかった。
この日は、まつりが開かれた桜並木沿いにある同町総合保健福祉会館(さわやかセンター)前広場の特設ブースに登場。サインや写真撮影に応じ、地元住民と交流を深めた。
弟子の育成は順調で、3月の春場所で十両復帰を果たした友風(28)のほか、東洋大牛久高出身の花房(19)ら幕下が5人いる。5月の夏場所では、アマチュア最高峰の大会、全日本選手権を2度制した有望株も初土俵を踏む予定だ。「土俵で結果を出すことで、地域の方に喜んでもらえる。ここから横綱、大関を育てたい」と二所ノ関親方は言う。
まつりでは吉本興業が仲介して、東京大の学生との共同企画も行われた。二所ノ関部屋に体験入門した学生が相撲や阿見町の歴史、自然にまつわる謎解きを考案し、来場者に解いてもらうもの。開始3時間ほどで500人以上が参加した。
教養学部4年の増田和俊さん(21)は「相撲のことを知ってもらうだけでなく、外から見たからこそ気づく阿見の良さを見つけてもらえたと思う」と話す。
さくらまつりが開かれたのは4年ぶり。コロナ下で中止が続き、3年間は桜並木をライトアップするイベントを開催してきた。
主催した町商工会青年部の吉田貴洋実行委員長(44)は「例年より桜の開花が早くて(散ってしまわないか)心配だった。コロナでできなかったイベントの1発目。二所ノ関親方を目当てにするお客さんも来てくれて、にぎわいの要素を加えてくれた」。
コロナ下で同じく開けなかった8月の「まい・あみ・まつり」、10月の「阿見町商工まつり」「さわやかフェア」も今年は開催予定だという。(鈴木健輔)
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