「想定の倍」WBC視聴率、日テレの三冠阻む 早くも次回にやきもき

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中沢絢乃 平賀拓史 伊藤宏樹
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 日本が優勝した第5回ワールド・ベースボール・クラシックWBC)は、多くの人がテレビ中継で劇的な試合を目撃した。日本戦の世帯視聴率は関東地区で全試合40%を超え、3日に固まった各局の年度視聴率争いにも影響を及ぼした。各局の思惑と、将来への影響は。

「歴史的な視聴率」

 「歴史的な視聴率は地上波の訴求力、伝達力、表現力の力強さを実証した。めったにないブレークだ」

 テレビ朝日の早河洋会長は3月28日、定例会見に5カ月ぶりに出席し、WBCが想定を超える盛り上がりを見せたことに驚きを隠さなかった。

 テレ朝は1次ラウンドのチェコ戦と豪州戦、準々決勝のイタリア戦、決勝の米国戦の4試合を生中継。関東地区の世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)はいずれも40%を超え、イタリア戦ではWBC中継史上最高となる48・0%を記録した。早河会長は「想定の倍くらいだった」と打ち明けた。

 大谷翔平ダルビッシュ有といった大リーガーの存在が視聴率を底上げし、ダルビッシュが宮崎でのキャンプに合流した2月中旬から潮目が変わったと振り返る。

 「テレビ離れ、広告の鈍化など、テレビのマイナス要素が指摘される中での実績は本当に喜ばしく、自信にもなる。テレビとスポーツは非常に親和性があることが改めて実証された」

 1次ラウンドの中国戦と韓国戦、準決勝のメキシコ戦を中継したTBSも手応えを感じている。中でも韓国戦の世帯視聴率は44・4%で、ビデオリサーチが、地区別の傾向などをもとに推計した、短時間でも試合を視聴した人数は全国で6234万人に上り、日本戦全7試合で最多だった。

 日本では午前の中継となった21日の準決勝と、テレ朝が中継した22日の決勝は、いずれも当日の夜に録画を放送。生中継とは別の「リピート権」を獲得して備えていた。

 TBSテレビの佐々木卓社長は定例会見で「野球が持つ底知れぬ魅力、スポーツが人を感動させる力だと思う。日韓戦は日本の人口の半分が一つの試合を見ながら心を揺さぶられた。僕らがそのお手伝いをできたことが誇らしい」と喜びをかみしめた。

日テレ「WBCに吹っ飛ばされた」

 スポーツジャーナリストの生…

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    稲崎航一
    (朝日新聞大阪スポーツ部長)
    2023年4月4日12時9分 投稿
    【視点】

    「野球中継ではイニング間にCMを入れやすく、目を離しても追いつけるのが大きな違い」と生島淳さん。 なるほど、長年のテレビと野球の親和性が発揮できた顕著な例だったと思います。 しかし、喜んでばかりはいられません。 東京五輪は盛り上が

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