米国の抱える矛盾、8時間かけ描く エンジェルス・イン・アメリカ
増田愛子
米国の劇作家トニー・クシュナーの代表作「エンジェルス・イン・アメリカ」(小田島創志訳)を、新国立劇場が上演する。1980年代のニューヨークで、エイズ禍による死の恐れに直面した人々の葛藤を通じ、個人主義やマイノリティー差別など、米国社会の矛盾を描く2部構成の作品だ。
オーディションを経た俳優8人と、計8時間に及ぶ大作の演出に挑むのは、上村聡史。20代で作品と出会い「日常と不思議なものが混在する世界の疾走感に、衝撃を受けた」。いつか手がけたいと、願ってきたという。
物語は、エイズに感染したゲイの青年が暮らす現実世界と、彼の祖先や天使といった超自然的存在を交差させながら進む。米国で91、92年に初演。日本では94年、ロバート・アラン・アッカーマンの演出で第1部が翻訳上演され、後に第2部も上演された。
劇場の演劇芸術監督、小川絵…