NATO東方拡大、ロシア反応に温度差 小泉悠さんのコメントプラス

[PR]

 「開戦前、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナがNATOの拠点になってロシアを脅かす可能性があると主張していました。これに対してフィンランドスウェーデンのNATO加盟は政治的に非難するに留(とど)めており、どうにも温度差があります」

 4月4日配信の記事「フィンランド、NATOに正式加盟 大統領『スウェーデンも早期に』」に、東京大学先端科学技術研究センター講師の小泉悠さんは、こうコメントした。

 NATO(北大西洋条約機構)は4日、ブリュッセルの本部で外相会合を開き、北欧フィンランドを31カ国目の加盟国として正式に迎えた。フィンランドのニーニスト大統領は「フィンランドの加盟は、(隣国)スウェーデンの加盟なしには完結しない」と語った。記事では今後、トルコの反対などで手続きが進んでいないスウェーデンのNATO加盟が焦点になると伝えた。

 ロシアに侵攻されたウクライナは、親欧米のゼレンスキー政権が、かねてNATO加盟を目指していた。小泉さんは、ロシアのウクライナ侵攻の背景について「NATO東方拡大という地政学的問題があることはたしか」とする一方で、フィンランドや同様に加盟を目指すスウェーデンへの対応と比べると「温度差」があると指摘。「ロシアにとってのウクライナという国の位置付け、あるいは執着みたいなものを考慮に入れないとやはりロシアの行動はうまく説明がつかないように思われます」と論じた。

 小泉さんは、フィンランドのNATO加盟により、ロシアが従来の倍の長さ約2500キロメートルにわたる陸の国境線でNATO加盟国と接することになったことも紹介した。これまでロシアはフィンランドとの国境にまとまった兵力を置いていなかったとし、「それさえウクライナ戦争に投入してしまっている」と分析。「国境防衛のために今後はかなりの軍事力増強を迫られるでしょう」と見通した上で、「ただでさえ苦しい経済状況で軍事負担が増えるのは嫌なはずですが、ロシア自身の戦争が招いた事態であることを考えると『身から出た錆(さび)』と言わざるを得ません」と断じた。

 この記事や、小泉さんのコメント全文はこちら(http://t.asahi.com/wmt0別ウインドウで開きます)からご覧いただけます。記事には、お笑い芸人のパトリック・ハーランさんもコメントしています。

     ◇

 コメントプラス(https://www.asahi.com/comment/)は、専門家らが記事にコメントを投稿し、新たな視点や考えるヒントを提供する朝日新聞デジタルの機能です。4月3日、新たにコメンテーター16人を迎え、総勢150人以上に。多彩な顔ぶれでニュースの世界を広げます。

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません