「安倍氏おらんから統制が取れなく」 元首相を失い揺れる「安倍党」
3月14日、山口県下関市で開催中のイベント「わたしの本棚」の会場の一角で、故・安倍晋三元首相の蔵書が展示された。
あいさつに立った妻の昭恵氏は話の途中、「ここで言うのもあれですが、主人の後継として吉田さんが来月の補欠選挙に出るので、お願いを申し上げたいと思います」と言い、衆院山口4区補選(4月23日投開票)に自民公認で立候補を予定する吉田真次氏(38)を壇上に呼び入れた。
昭恵氏はイベント前、吉田氏のプロフィルなどが書かれたリーフレットを来場者に手渡しして回った。
吉田氏の支援者らによると、昨年末の立候補表明以降、昭恵氏が吉田氏を連れて選挙区内を回っているという。選挙に向けて動く吉田氏の傍らには、昭恵氏と安倍後援会の関係者の姿がある。
安倍後援会は「安倍党」と称されるほど、強固な結束を誇ってきた。
後援会主導にほころび
自民党関係者によると、4区での安倍氏の選挙は、後援会が全面的に仕切った。そのやり方を「4区方式」と呼ぶ県議もいる。今回の補選の候補者選びも、党本部は早々と後援会の判断を待つ姿勢をとった。
安倍氏の父親、晋太郎元外相の代から支えてきた後援会は、「安倍」の名やブランドを残そうと、妻の昭恵氏や親族らを対象に後継を模索したが、昭恵氏に固辞されるなど難航。結局、安倍氏に近い市議会派の吉田氏を昭恵氏が担ぎ出す形となった。
安倍後援会の伊藤昭男会長は、吉田氏の後援会長に就任。3月5日の集会で「吉田候補を国政の場に送り出すのが、安倍後援会の最後の役割と全力で頑張っている」とあいさつ。吉田氏の会見に付き添って「下関を守り抜く」と力を込める一幕もあった。
政治家の選挙を支え、代々引き継がれることもある後援会。中選挙区時代の産物のはずが、今も健在なのはなぜなのでしょうか。11日に告示される衆院補選をめぐって政治と世襲、後継、家……などが話題になった山口から考えます。
そもそも政治家の後援会はどのような組織なのか。
「日本の国会議員」(中公新…
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