3月の米就業者数、予想やや下回る23万人増 利上げへの影響焦点に
米労働省が7日発表した3月の雇用統計で、景気動向を反映しやすい非農業部門の就業者数(季節調整済み)は、前月より23・6万人増えた。事前の市場予想(23・9万人増)はやや下回った。市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)が次回の5月会合で、続けてきた利上げを見送るかが焦点になっている。今回の結果が利上げ判断にどう影響するかが注目される。
同時に発表された失業率は3・5%(市場予想は3・6%)だった。前月からは0・1ポイント改善し、歴史的な低水準が続いている。
FRBは約40年ぶりの激しい物価高(インフレ)を抑えるため、昨年3月から利上げを継続。今年3月中旬に米銀2行が経営破綻(はたん)した後は利上げの弊害も指摘されているが、FRBは破綻後の3月会合でも0・25%幅の利上げを決めた。
2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比6・0%増となお高く、FRBはインフレとの戦いは「道半ば」との立場だ。
だが市場では、FRBが次回の5月会合で銀行経営や景気への悪影響に配慮し、利上げを回避するとの見方も出ている。
米国では、コロナ禍後の人手不足に起因する好調な雇用環境が賃金上昇を招き、それが激しいインフレを助長したとみられている。このため、FRBは雇用統計の一定の「悪化」がインフレの抑え込みには必要だとみている。
FRBは今回の雇用統計や今月12日のCPIといった重要統計のほか、米銀の動向などを踏まえて、最終的な判断をするとみられる。(ワシントン=榊原謙)