「一つの中国」改めて台湾に問う選挙へ 現・前総統が米中で違う主張
台北=石田耕一郎
先月末から時期が重なって行われた台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統(民進党)の訪米と、馬英九(マーインチウ)前総統(国民党)の訪中が終わった。両氏の訪問先での発言は、中台のあり方をめぐる立場の違いを改めて鮮明にした。中国が蔡氏訪米に反発した軍事演習で圧力をかける中、来年の総統選に向けた台湾世論の行方に注目が集まる。
両氏は7日、それぞれ約10日間の日程を終えて台湾に戻った。議論を呼んでいるのは、馬氏が中国で繰り返した「両岸(中台)は一つの中国に属し、どちらが中国なのかは、(中台)それぞれが主張する」という考え方だ。馬氏は共産党幹部や報道陣に「私は中国人」「両岸の人々はともに中華民族」とも語った。
馬氏は現職総統だった2015年、国民党主席(党首)として中国の習近平(シーチンピン)・共産党総書記(国家主席)と会談。互いにこの考え方を確認したと、国民党側は主張する。国民党はこの点を党の政策綱領にも記しており、近く公認が決まる来年の総統選候補に対しても、同様の訴えをするよう求めるとみられている。
これに対し、蔡氏は訪米最終…