尾崎豊さんの兄が埼玉弁護士会長に 司法試験のきっかけは「弟の死」
4月から埼玉弁護士会の会長に就いた尾崎康氏(62)が10日、さいたま市浦和区の埼玉弁護士会館で会見をした。尾崎氏の弟は、1992年に亡くなったシンガー・ソングライターの尾崎豊さん。「権力の乱用に対し厳重に警戒し、市民に向けたサービスを充実させていく」と抱負を述べた。
尾崎氏は東京都練馬区出身。97年に埼玉弁護士会に登録。「子どもの権利」に関心を持ち、少年事件や児童虐待事件などの弁護を担当してきた。また2004年から5年間、弁護士が裁判官になる「弁護士任官制度」を利用して、横浜地裁や名古屋地裁で民事事件の裁判官として勤務した。
早稲田大学法学部を卒業後、いったんは裁判所事務官になった。裁判を間近で見る中で「自分もシステムに参加してみたい」と思い、数年後に司法試験を志したという。ただ、なかなか合格せず、試験を受けるのをやめて学習塾の講師になった。そんな時、豊さんが亡くなったという。
「うまく理由は説明できないが、弟の死がきっかけでまた試験を受けるようになった」。2年後の94年、「7回か8回は受けた」という司法試験に合格。34歳だった。
尾崎氏は、自分が使わなくなったギターから豊さんが音楽を始めたというエピソードも紹介し、「一緒に酒をよく飲んだ。面白くていい人だった」と思い出を語った。また豊さんの曲はどれも好きだといい、カラオケでは「I LOVE YOU」や「卒業」などを歌うこともあるという。(野口駿)