植田日銀、安全運転でスタート 「早期に政策修正」の観測打ち消す

有料記事

山本恭介
[PR]

 日本銀行の新体制が10日、始動した。植田和男総裁(71)はこの日の就任会見で、大規模な金融緩和は維持するとしつつ、「総合的な検証」にも前向きな考えを示した。市場の一部にあった早期の政策修正の思惑は打ち消すなど、総じて安全運転でスタートした。

 米中堅銀行の破綻(はたん)を発端とする米欧の金融不安がくすぶる中での船出となった。植田氏は「金融システムは一応落ち着いているので、多少の政策修正を考える際に、それほどの大きなイシュー(問題)ではないと思う」と述べた。

 ただ、市場には、政策修正が後ろ倒しになるとの見方もある。バークレイズ証券の山川哲史氏は「金融不安が長期化するなかでの修正は、金融市場に予期せぬ不安が派生しかねない」と指摘。金融不安の落ち着きを確認したうえで、日銀は6月の金融政策決定会合で修正に乗り出すとみる。

 市場の一部が早期修正を見込むのは、日銀が国債を買って長期金利を低く抑える「イールドカーブ・コントロール(YCC)」という政策だ。しかし、植田氏は10日の会見で「現行のYCCを継続することが適当だ」と説明し、そうした観測をいったん打ち消した。

 昨年来、金利の上昇圧力が高…

この記事は有料記事です。残り636文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら