第18回令和の「どぶ板」心つかんだ維新 兵庫・躍進の裏側にあったもの

有料記事統一地方選挙2023

高橋孝二 菱山出
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 9日に開票された兵庫県議選では維新が躍進し、前回の9議席を大幅に上回る21議席を獲得した。なにが有権者の心をつかんだのか。新顔候補の戦いぶりからは、足を使い有権者に直接訴える、昔ながらの「どぶ板選挙」の手法が浮かび上がる。

 「県政は仲間がいるので心強い。みんなで改革に取り組みたい」。9日晩、加古川市選挙区(定数4)で初当選した維新新顔の鍔木(つばき)良子氏(43)は、支持者らに囲まれ抱負を語った。

 この選挙区で県議2期を務め、衆院議員に転身した維新の掘井健智氏(56)の後継。他の当選者が前回よりも得票数を減らす中、鍔木氏は掘井氏の前回得票より約6千票、前々回得票より約4千票上積みし、全候補中2番目の1万6927票を獲得。維新の議席を取り戻した。他党に投じられてきた票が自らに流れたのではないか、と鍔木氏は見る。

 鍔木陣営は選挙中、ほぼ連日午前6時にJR加古川駅前に一番乗りし、通勤する有権者に地声で名前を売り込んだ。「新しい価値観を取り入れた政治に変えないといけない」。他陣営が同じ場所に来るのはその後。通勤の少ない土曜日の朝も駅頭に立った。

 他陣営は業界団体や労組などの推薦を受けたり、鉄鋼メーカー前で朝立ちをしたり。後援会員らを集めた個人演説会を開いた陣営もあった。維新にはこうした大きな支援団体が無い。

 鍔木氏は8年前、県議に初当選した掘井氏に請われ秘書に。2018年に加古川市議となった。加古川では「2人で維新を始めた」と振り返る。食の安全や、発達障害不登校児をテーマに、講演会を企画するなどして「友達の友達を紹介してもらい、価値観が近い仲間が広がっていった」。

 選挙戦は掘井氏や3人に増えた維新市議が応援に。8年間で培った人脈で、当選を勝ち取った。(高橋孝二)

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