各地で空爆、強硬さ増すミャンマー国軍 専門家がみる戦闘の行方

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聞き手・加藤あず佐
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 クーデターで実権を握ったミャンマー国軍が11日、北西部で民主派の式典を空爆し、多数が死傷しました。強硬姿勢を強める国軍の狙いは何なのか。国際社会に求められることは。現地の政治や経済に詳しい中西嘉宏・京都大准教授に聞きました。

 ――国軍側は11日、北西部のザガイン管区の村で大規模な空爆を行いました。どのような狙いがあったのでしょうか。

 民主派による国民統一政府(NUG)とその軍事機関にあたる国民防衛隊(PDF)のメンバーといった特定の民主派関係者の殺害がひとつの狙いだったと思います。また、多くの人が集まるイベントを空爆することで、市民への萎縮効果を狙ったのでしょう。

 ザガイン管区は2021年2月のクーデター後に国軍への抵抗が激化した地域の一つで、農村部には国軍側が統治できていない地域も多くあります。今回、多くの人が犠牲になった村から1.5キロほど離れた村でも昨年10月末に武力衝突があり、国軍兵士15人が死亡したと報道されました。南のシュエボーという地域では頻繁に戦闘が起きています。

 こうした地域では、ゲリラ戦で国軍が優位に立てていません。しかしその一方で、抵抗勢力には地対空兵器がなく、国軍は戦闘機による空爆や攻撃用ヘリによる攻撃を行っています。

総選挙実施へ焦り 萎縮を狙うも逆効果

 ――3月下旬以降、国軍による空爆や砲撃が各地で相次いでいます。戦闘が激化している背景には何がありますか。

 総選挙を実施するために治安を安定させたいという、国軍側の焦りでしょう。クーデターから2年が経った2月1日、国軍側は非常事態宣言を延長し、8月までに実施するとしていた総選挙を事実上延期しました。同時に、戒厳令の対象地域を拡大し、各地で空爆を繰り返して民主派を含めた抵抗勢力の鎮圧を図っています。

 国軍側は萎縮を狙っていますが、こうした強硬姿勢は民主派や一般市民のさらなる反発を招くばかりです。国際社会からも非難され、実際には逆効果です。しかし、国軍側は目先の目標を達成するために弾圧を続ける他にできることがありません。ただ武力で抑え込もうとするだけです。今後も戦闘は続き、国軍と民主派の双方で犠牲者が増えていきそうです。

ミャンマー国軍による弾圧が激化し、多数の死傷者や避難民が出ています。国連、ASEAN、日本政府に求められていることは何か。後半で語ってもらっています。

 ――クーデターから約半年後の21年9月、NUGは「自衛のための戦い」をするとして自衛組織を立ち上げ、少数民族武装勢力とも共闘するようになりました。対立の構図は、現在どうなっているのでしょうか。

多様な集団が関与 暴力に歯止めかからず

 国軍対NUGという単純な構…

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