昔話読み聞かせた弟たちに抜かれた出世 若隆元は悔しさを通り越して

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鈴木健輔
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 戦国武将、毛利隆元をインターネットと本で調べると、自分と似ている気がした。

 家族思いで、気遣いができて、人望が厚かったらしい。半面、自分に自信を持てないタイプだったのだろうか。できの良い2人の弟、元春と隆景に劣等感を抱いていたらしい。

 遠くない感情が、自分にもあった。

 福島市出身の大波渡(おおなみわたる)は、大相撲の幕下力士。「若隆元」というしこ名を、その隆元からもらった。

 入門時の師匠、先代荒汐親方(元小結大豊〈おおゆたか〉)が「三本の矢」で有名な毛利3兄弟になぞらえてつけてくれた。

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 角界での出世順は年齢と逆だった。

 三男の渥(あつし)、若隆景が2019年に新入幕。次男の港(みなと)、若元春が昨年続いた。

 兄弟の先陣を切って、自分が角界入りしたのが13年前。十両の手前、幕下で足踏みし、31歳になった。

 弟2人とは幼い頃から仲が良かった。

 母方の祖父は元小結若葉山、父は元幕下若信夫(しのぶ)。ちゃんこ屋を営む両親が忙しい日は、弟の面倒を見るのが役目だった。

 ご飯をちゃんと食べているか…

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    中川文如
    (朝日新聞スポーツ部次長)
    2023年4月21日17時0分 投稿
    【視点】

    アスリートって人格的に破綻してなきゃ、成功できないよな……。長くスポーツを取材していると、たまに、そう感じることがあります。だって、同じ「勝つ」という目的を持った他者を蹴落として蹴落として成り上がっていかなきゃ、トップになんて、たどり着けな

    …続きを読む
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