第7回地元に根を下ろすメディアとして 知床事故の報道で伝えたかったこと
北海道報道センター次長・岡戸佑樹
白く染まっていた斜里岳は、山肌が目立つようになった。その光景は、あの日に近づきつつある。
昨年4月24日、車窓に映る斜里岳を見ながら、事故現場に思いをはせた。
前日の23日、北海道斜里町の知床半島沖で、観光船「KAZUⅠ(カズワン)」の行方がわからなくなっていた。
船には、乗員・乗客26人が乗っていたという。翌朝、現地取材班の担当デスクとして知床に向かった。
急激に荒れる海、かつて経験したことのない突風。現地に身を置くだけで、春先の知床がいかに厳しい環境かがわかった。
だが、それ以上に驚かされたのは、カズワンを運航していた「知床遊覧船」のずさんな体制だった。
一方で、事故直後に見えなかったのは、カズワンが事故に至った過程だ。
午前10時にウトロ漁港を出たカズワンは、午後1時に帰港する予定だった。
家族が最も知りたい情報は
ところが、午後1時10分ご…
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