「最悪の人道危機」イエメンで800人の捕虜交換 内戦終結へ正念場

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カイロ=武石英史郎
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 中東イエメンが、8年続く内戦を終結できるか正念場を迎えている。暫定政権を支援して軍事介入してきた隣国サウジアラビアと、敵対するイスラム教シーア派武装勢力フーシが今月、和平へ向けた交渉を開始。14日には887人の捕虜らの大規模交換が始まった。

 捕虜らの交換は国連の仲介で合意していた。赤十字国際委員会(ICRC)の航空機でフーシ支配下の首都サヌアや、暫定政権の拠点の南部アデン、サウジ側の都市などを結んで3日間行われる。

 AFP通信などによると、今回は2020年に千人余りの交換が実現して以来の規模。対象者には、暫定政権のハディ前大統領の弟や元国防相ら15年の開戦時からフーシに拘束されていた要人が含まれ、政治的な意味が大きい。捕虜となった戦闘員や民間人、サウジ人、拘束中の記者らも対象だという。

 暫定政権の当局者は12日のツイートで「準備は整った。神のご加護で成し遂げられる。残る捕虜らの交換も近い将来、刑務所が空になるまで続く」と期待感をにじませた。

イエメン内戦

中東の民主化運動アラブの春」の余波で2011年、サレハ長期独裁政権が倒れた後、政治が不安定化。15年にシーア派の武装勢力フーシがハディ暫定大統領を追い出し、首都サヌアを掌握。暫定政権を支援するサウジアラビア主導の連合軍が軍事介入し、内戦状態になった。国連は22年3月の報告書で、内戦による死者が37万7千人に上ると推計。このうち約4割を占める戦闘による死者のほか、食料不足や病気による犠牲者が多数に上るとして「世界最悪の人道危機の一つ」と警鐘を鳴らしている。

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