WBCで似顔絵投稿、大反響のイラストレーター 地方から広がる世界

大藤道矢
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 大胆な構図と色づかい。アスリートの躍動感を表現する力は自負するところだ。りおたさん(32)は主にスポーツの分野を手掛けるイラストレーターとして似顔絵やデザインの制作で活躍している。新たなスタイルで作品の幅を広げようと意気込んでいる。

 スッ、スッ、スッ。

 シャッ、シャッ、シャッ。

 山口市のりおたさんのアトリエ。デジタル画の似顔絵を描く作業を見せてもらった。

 最初はスケッチブックに、芯の太さ0・5ミリのシャープペンシルを使って、下書きに取り組む。「ここで作品を仕上げる、というぐらい丁寧に書き込みます」。写真や動画を見て、頭の中でイメージを深めていくことが大切だという。

 その後、下書きをスキャナーで取り込み、タブレットの画面で色を塗っていく。なるべく使う色の数を少なくして、姿や顔のシルエットを組み立てる。

 「ごちゃごちゃ描くのは嫌いなので、良くも悪くもおおざっぱに処理することを意識します。絵を見たときにシンプルに情報が入ってくると、心地よく感じてもらえると思います」。数時間で見事なイラストが完成した。

 防府市の出身。周南市の専門学校を卒業して、広告会社に入った。イラストレーターとして独立したのは22歳のとき。サッカーやプロ野球の選手の似顔絵などをSNSで公開していると、選手たちに存在を知られるようになった。米大リーグで活躍する前田健太投手からTシャツのデザインの依頼を受けたこともある。

 現在、雑誌、ウェブ媒体への寄稿やスポーツチームのグッズのデザインなどを手がける。拠点を移さず、山口で仕事を続けている。「山口は東京へ行くにも空港が近くて便利だし、作品データを送ることは都会にいなくてもできる。暮らしやすい田舎から世界を広げていける」と話す。

 日本中を熱狂させた野球のワールド・ベースボール・クラシックWBC)や昨年のサッカーW杯では、試合終了直後から作品をSNSで発信して、それぞれ数千の「いいね!」が付いたり、「特徴つかむのが天才的に上手」「印象に残るシーン」といったコメントが寄せられたりと、多くの反響があった。

 関心のなかった人から「イラストを通じてスポーツに興味を持った」という声が届くことがうれしい。「面白い部分を分かりやすく切り抜くことで、野球やサッカーの魅力を自分なりに伝えることができます」

 一方で、商業イラストレーターとして求められたものだけでなく、自分の本当に描きたいものを創るアーティストとして飛躍したい思いがある。

 「描くことを真から楽しむ人生を歩むために、スポーツに限らず、時代を彩る作品をめざしていきたい」(大藤道矢)

     ◇

 りおたさんはツイッターインスタグラムで作品を公開。オフィシャルサイト(https://www.riota-illust.com/別ウインドウで開きます)で似顔絵やSNSで使うアイコンなどの制作を受け付けている。5月3~5日に神戸市で開催されるイベント「インフィオラータこうべ北野坂」では、りおたさんがデザインした大リーグで活躍しているダルビッシュ有選手の花絵の設置が予定されている。

◆yabは18日午後5時33分からの「Jチャンやまぐち」で放送予定です。

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