「人間将棋」4年ぶり通常開催 初出演のA級棋士も緊張、言葉詰まる

須田世紀
天童の人間将棋、中村太地八段の東軍VS.稲葉陽八段の西軍が激突 解説・糸谷哲郎八段=須田世紀、小川尭洋撮影
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 将棋駒の生産量が日本一の山形県天童市で15、16の両日、4月の恒例行事「人間将棋」が行われた。コロナ禍の影響で、入場制限などが行われない通常開催は4年ぶりだった。

 2日目の16日は、稲葉陽(あきら)八段と中村太地八段が対戦した。市によると、1956年に始まった人間将棋で、A級棋士同士の対局は初めて。A級棋士は将棋界で最も歴史のあるタイトル「名人」に挑戦する権利を競う階級で、定数は10人。

 両棋士とも陣羽織姿で登場した。冒頭の武者言葉での掛け合いは、初出演の稲葉八段が「本日は手を抜かぬぞ。よ、よろしくお、おたの……」と緊張した様子。2013年以来、2度目となる中村八段は「必勝を期して臨む。いざ、出陣」と力強く宣言した。

 縦約17メートル、横約14メートルの巨大な将棋盤の脇に設置したやぐらから両棋士が指示を出し、駒に見立てた甲冑(かっちゅう)や和服姿の計40人が盤上を動いた。対局中に雨が降りだし、雨具を身に着けていた。138手で稲葉八段が勝利した。

 人間将棋には全ての駒を動かすというルールがある。中村八段は対局後、「それを実現させ、プロの技を見せなければいけないのが楽しくもあり、難しい」。稲葉八段は「武者言葉と将棋を考え、雨が降ってきて自然との闘いでもあった」と話した。(須田世紀)

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