打算、下心、そして真心 「お土産」に込められる怖さと貴さとは
選んで楽しい、もらってうれしい――。そんな楽しいお土産の世界とは少し様子が異なるのが、仕事が絡んだ時のお土産です。下心あり、打算あり、形の見えないものもあり。長年、編集者として出版社に勤めた作家の山口ミルコさんに、お土産の多面性について話を聞きました。
やまぐち・みるこ 1965年生まれ。複数の出版社で雑誌や書籍の編集に携わる。2009年に退社し、独立。著書に「バブル」「毛の力」「毛のない生活」など。
国会議員が持たせたお土産の怖さ
20年ほど、出版社で編集者をしていました。職場には毎日のように同僚からのお土産が置いてあり、自分もご相伴にあずかっていたはずなのに、それが何で、誰からのものだったのか、ほとんど思い出せません。
印象に残っているのは、「物体」のないお土産です。ある国会議員に会いに行った時のこと。帰り際に、その議員が仕事の提案をしてくれました。その時にこう言ったんです。「会うからには、お土産を持たさないで帰すわけにはいかない」と。人に足を運ばせたからには、何かしらの手柄を持たせるものだということなのでしょう。お菓子や記念の品をもらうのとは全く異なる、お土産の怖さを感じたことを覚えています。
腹の中では「仕事決めなきゃ」
思えば、私はそういうお土産…
【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら
- 【解説】
お土産の受け渡しがスムースにできるようになったらおとなの一員になれる。誰に教えられたのかは忘れましたが、若いころからずっとそう思ってきました。47歳になったいまでも、なにをお土産に選ぶのかにはいつも頭を悩ませます。相手の趣味嗜好を思い描き、
…続きを読む