対話型AI(人工知能)「ChatGPT(チャットGPT)」などの「生成AI」の活用が急速に広がる中、大阪大のグループが倫理的・法的・社会的課題(ELSI)の論点をまとめた。大阪大はこの報告を参考に、生成AIの利用についてのガイドラインを定めたという。報告をまとめた大阪大社会技術共創研究センター長の岸本充生教授に背景にある考え方を聞いた。
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――チャットGPTのような新技術について、倫理的・法的・社会的課題(ELSI)の議論が必要と言われます。とくに倫理の重要性を指摘しておられますね?
新技術が社会に導入されると、すでにある社会のルールと合わなかったり、そもそもルールがなかったりします。そこで新技術の開発や利用に取り組む企業は、法務部門が法的な問題がないことを確認し、社会の反応も考えた上で判断してきました。
しかし、技術開発のスピードが速い時、法規制は技術の進歩に追いつかない。法律家にお墨付きをもらって事業を進めたとたんに、規制が変わるかもしれません。だからといって、「何かあったらどうするんだ」と規制が固まるまで待っていては、イノベーションに後れをとってしまいます。
一方、社会の反応はつかみにくい。法務部門が大丈夫だと判断してもSNSでは何が炎上する事態につながるのかわかりません。そこで相対的に「倫理」が浮上します。
倫理は、「他人を傷つけない…
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