「ご家族が心の整理するためにも」もう一度、「けじめ」の捜索へ
山本智之
「時間が流れるにつれ、世間の関心はだんだん薄れ、行方不明者の家族だけが取り残されたようになっている。何とかしてあげたいという気持ちがあった」
北海道・知床半島沖で観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故をめぐり、行方不明者を捜索するボランティア隊を結成し、隊長を務めた。
桜井憲二さん
59歳。捜索ボランティア隊長
きっかけは、事故から5日後の昨年4月28日だった。自分が暮らす羅臼町の沖合で、行方不明だった3人が見つかった。
同じ知床半島でも、羅臼町は東側に位置し、事故が起きた斜里町沖の海域とは反対側にある。冬の流氷が半島を回り込んで羅臼側へやって来るのと同じように、遺体も流されてきたのだろうな――。そして思った。
「人の行かない海岸線にも、ひょっとしたら行方不明者が漂着しているんじゃないか」
半島の先端にある知床岬付近の海岸は、地元の人であっても簡単に行ける場所ではない。
野ざらしだった頭蓋骨
しかし自分なら、趣味のトレ…
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