AI研究「カメの歩み」日本に焦り ChatGPT電撃訪日の舞台裏
4月10日、岸田文雄首相が首相官邸で対していたのは、米新興企業オープンAIのサム・アルトマンCEO(最高経営責任者)だった。一般には名前も知られていなかったベンチャー経営者と、首相が面会するのは異例といえる。
同社は、人間のように自然な回答を返す対話型AI(人工知能)「ChatGPT(チャットGPT)」を開発したことで、一躍脚光を浴びる。
一方で、個人データの取り扱いに関する懸念から、イタリアがチャットGPTの一時利用禁止を決めるなど、欧米では慎重論も広がる。首相がその話題を振ると、アルトマン氏は「野放図にさせておくのはいけない」と返した。
質問を予想していたのか、協力的な姿勢を示しつつ、こうくぎを刺すことも忘れなかった。
「イタリアのように一発で禁止にしたら進歩はない。徐々にルールをつくりながら進化させなければ」
官邸関係者によると、2人の間ではこうしたやり取りが繰り広げられたという。
面会後、官邸のエントランスで取材陣に囲まれたアルトマン氏は上機嫌だった。
「素晴らしい会談だった。(首相は)非常に思慮深い人だ」
そして、「日本の人にとって素晴らしいものを作りたい」と語り、研究開発の拠点を日本に設立する考えを示した。
官邸幹部の一人は、面会のねらいについて「日本はそもそもAIの分野で遅れている。トップである総理が会うことは大きなメッセージになる」と打ち明ける。
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欧州を中心にチャットGPTなど生成AIへの規制論が広がるなか、首相とアルトマン氏の面会は電撃的に行われた。5月に広島で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)を控え、双方の思惑は何だったのか。舞台裏に迫る。(小木雄太、女屋泰之)
自民党側から来日働きかけ 「規制よりもまずは…」
対話型AI(人工知能)「ChatGPT(チャットGPT)」を開発したオープンAIのCEO(最高経営責任者)で、一躍時の人となったサム・アルトマン氏が、サービス公開後初の海外訪問先として選んだのは日本だった。
海外メディアも訪日を報じるなか、ある自民党中堅議員は、SNSで話題になることを意味する表現を使ってこう喜んだ。
「大バズりだ」
複数の関係者によると、今回…
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- 【視点】
今回のサム・アルトマン氏の来日の鍵は、日本政府とアルトマン氏双方にとって「ウィン・ウィン」だったことだろう。オープンAIは日本で思われているほど大きな会社ではない。来日に関わった関係者によると、欧州や米国政府はリスクを恐れて距離を置き、世界
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