乗り物の安全へ「終わりはない」 中華航空機墜落29年 遺族ら祈り
土井良典
1994年に愛知県営名古屋空港(同県豊山町)で中華航空機が墜落し、乗員・乗客264人が亡くなった事故から、26日で29年を迎えた。空港近くの慰霊施設「やすらぎの園」(同県春日井市)で慰霊行事があり、遺族が改めて乗り物の安全を願った。
遺族会の山本昇会長(69)と中華航空の代表者が献花した。山本会長は、「乗り物の安全(への活動)は『これで終わり』がないと思う。安全な社会へ、少しでも貢献していければ」と述べた。
長野県飯田市から家族と訪れた今村宏江さん(82)は、事故で失った夫鉄夫さん(当時53歳)の名が刻まれた慰霊碑を指し、「じいじはここだよ」と、ひ孫へ伝えた。今村さんは「いつも夫と一緒におると思わないと、やってられん」と語った。
今村さんの孫、宗平さん(26)は東京から来た。音楽活動を仕事にしているといい、「実はいま祖父の曲をつくり始めている。写真でしか見たことはないけど、空から見守ってほしい」と話した。
遺族会の酒井光男副会長(68)は、63、61歳で亡くなった両親の年齢を超えて久しい。商売人だった親の影響で、脱サラして岡崎市でラーメン店を営む。「まだ体は元気。倒れるまで店は続けたい」と話した。(土井良典)