クレディ救済で「投資巧者」も損失 なぜ、株より先に債券が紙切れに

有料記事

山本恭介 稲垣千駿
[PR]

 経営不安に陥った世界的な金融大手クレディ・スイス・グループの救済をめぐり、同社が発行した債券「AT1債」が無価値とされたことが波紋を広げている。弁済の優先度が低いはずの株式の価値はかろうじて残ったのに、AT1債だけが「紙切れ」になってしまったからだ。その余波は、日本の投資家や金融機関にも及んでいる。

 クレディがスイスの同業UBSに買収されることが決まった3月19日、スイスの金融当局はクレディの負債を軽くするため、AT1債約160億スイスフラン(約2・3兆円)分を無価値にすることを決めた。

 これによって国内の投資家も損失を被った。コーエーテクモホールディングスは2023年3月期決算で、保有していたクレディのAT1債41億円分の損失を計上した。運用を担当し、投資巧者として知られる襟川恵子会長が4月24日の決算説明会で明らかにした。

 金融機関が破綻(はたん)した場合は通常、まず弁済されるのは預金、次に社債などの債券、最後は株式という優先順位になる。だが、クレディの株式は22・48株がUBSの1株に交換され、価値は大幅に目減りしたがゼロにはならなかった。

弁済順位の逆転、なぜ

 AT1債は、通常の債券には…

この記事は有料記事です。残り1742文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら