フリーランス新法、参院内閣委で全会一致で可決 取引の適正化図る

上地兼太郎
[PR]

 フリーランスで働く人を保護するための法案が27日、参院内閣委員会で全会一致で可決された。28日の参院本会議で成立する見通し。フリーランスは取引上の立場が弱く、報酬の支払いが遅れたり、一方的に仕事を取り消されたりといったトラブルが少なくない。新法で取引のルールを定めて、適正化を図る。

 フリーランスは誰にも雇われず、1人で事業を営む働き方。政府の3年前の調査によると、国内に推計462万人(本業214万人、副業248万人)いる。

 新法の正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」。企業などから仕事の発注を受けるフリーランスを「特定受託事業者」と位置づけ、保護の対象にする。公布後、1年6カ月以内に施行される。

 新法では発注者に対し、契約時に業務内容や報酬額を書面やメールなどで明示することを義務づける。報酬を相場よりも著しく低く定めることや、契約後に不当に減額することは禁止する。発注した仕事の成果を受け取った日から60日以内に報酬を支払うことも義務化する。

 また発注者には、フリーランスの育児・介護に配慮することや、ハラスメント行為に関する相談体制の整備を義務づける。

 違反した事業者には、公正取引委員会や厚生労働相らが指導や命令などを行う。命令に従わないなど悪質な場合は50万円以下の罰金を科す。

 新法は、岸田文雄首相が一昨年秋に「フリーランスの方々が安心して働ける環境を整備する」と表明して動き出した。だが自民党内から、多様な働き方があるフリーランスをまとめて保護することなどに異論が続出。当初は昨秋の臨時国会に提出する方針だったが間に合わず、法案名から「フリーランス」という言葉を外すなどしたうえで今国会に提出されていた。(上地兼太郎)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません