「7回くらいでは…」 3度目の正直に挑む伊藤将司、復帰戦で完封
(27日、プロ野球 阪神タイガース15―0読売ジャイアンツ)
右手のグラブを高く掲げる独特のフォームが甲子園に戻ってきた。球速表示は140キロ台中盤。それでも阪神の伊藤将司は抜群の制球力で打者にまともなスイングをさせなかった。
二回、先頭の4番岡本和真を追い込むと、内角へ136キロの変化球を食い込ませ空振り三振に。続く中田翔へはカウント2―2から内角いっぱいの144キロ直球を投じた。腰を引かせ、バットを振らせることなく三振に仕留めた。「今季初登板なので思い切って勝負しようと思った」
昨季の巨人戦は3勝無敗、2完封。巨人の中心打者との最初の勝負で改めてキラーぶりを印象づけると、大量援護を背に五回1死まで一人の走者も許さなかった。
新人時代から10勝、9勝と2年連続で安定した成績を残してきたが、3年目の今季は3月中旬に左肩の違和感を訴えて離脱した。この間、現役ドラフトでソフトバンクから加入した左腕・大竹耕太郎や3年目の右腕・村上頌樹(しょうき)らの台頭もあり、周囲が復帰を焦らせる必要はなかった。
26歳が特にこだわるのが、過去2年わずかに届かなかった規定投球回だ。「いけるところまでいきたい。7回くらいでとは思っていません」。復帰登板で九回もマウンドに上がり、被安打2、無四死球、106球で完封を遂げた。出遅れたものの、「ここから挽回(ばんかい)してやろうという気持ちです」と威勢が良い。
チームは先発の軸となるべき2人が不安定だ。昨季投手三冠の青柳晃洋は2試合続けて崩れた。32歳のベテラン西勇輝も26日の巨人戦で3回5失点と荒れた。このタイミングでの、頼れる左腕の復帰は実に心強い。(大坂尚子)
山崎伊(巨) 三回途中8失点で降板。「早くマウンドをおりることになって悔しい。中継ぎ陣に申し訳ない気持ちです」
井上(神) ここまで通算2打点の21歳が3安打4打点。「(中軸がつないで)6番がキーになると思う。走者をかえせるよう、今日みたいなことを一つでも多く積み重ねたい」
大山(神) 六回に2号ソロ。甲子園での今季初アーチに「しっかりと自分のスイングをすることができた」。
岡田監督(神) 「伊藤将は少ない球数だったし、試合展開でこれは完封だなと思った」。19安打15得点の打線には「急にみんな(状態が)上がりましたね」。