「勝利などと呼べない。尋常じゃない割合で人が死んだ」
ロシア・シベリア出身の「セルゲイ」と名乗った元受刑者の男性(47)は、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の戦闘員だった。男性は、東部ドネツク州ソレダルなどで、ワグネルが戦果を誇ることに顔をしかめた。
「貧弱な訓練、能力不足。それが巨大な被害を生んだ」。元ロシア軍人でもある男性はワグネルをこうもこき下ろした。
【連載】監獄から戦場へ ワグネル「囚人戦闘員」たちの証言
ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の戦闘員が、ウクライナの収容施設で捕虜となっています。侵攻の激戦地に投入されている戦闘員の実態とは――。捕虜になっている5人が朝日新聞の取材に応じました。
ウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムート近郊にいた今年1月、森を前進する際に3方向から銃撃を受けた。その時に一緒にいた9人のうち、8人が死に、自分はウクライナ軍の捕虜になった。前線に送られてからわずか10日目だった。同じ拠点にいた500人のうち、「7~8割は死んだと思う」と言った。
「前線は2~3週間生き残るのも現実的ではない。生きていてよかった」。生き残った今、「再び生まれた思い」がするという。
前線に送られる前、男性はロシア中部の刑務所にいた。2022年に違法薬物の取引で実刑判決を受け、服役していた。20年以上前にロシア軍を去って以来、刑務所に入るのは3回目だった。
「私はワグネルを待っていた」
刑務所内ではあるうわさが広まっていた。
ワグネルに誘われた男性は訓練が不十分なまま戦場に送られます。そこで見たものとは。
刑務所に現れたワグネル創設者
ワグネルが刑務所で受刑者を…
【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら

ウクライナ情勢 最新ニュース
ロシアのウクライナ侵攻に関する最新のニュース、国際社会の動向、経済への影響などを、わかりやすくお伝えします。[もっと見る]