「あしたのジョー」を千年先に残そう 越前和紙での漫画保存始まる

有料記事

小田健司
[PR]

 福井が誇る「越前和紙」。どれだけの長期保存ができ、伝統工芸品にとどまらない価値を見いだすことは可能なのか――国内の著名な漫画家の協力を得て、そんな実験的な取り組みが福井県越前市で始まった。

 29日から同市の「紙の文化博物館」で始まる「漫画正倉院展」の報道機関への説明会が25日にあった。会場には、越前和紙に漫画家が墨で絵を描いた作品とその複製品の計10点が並んでいた。

 「これは越前和紙と漫画の作品の価値を高めるための壮大な実験です」。同市で材木店を経営する田中保さん(69)はこう話した。

 田中さんは2020年夏ごろから「あしたのジョー」を手がけた漫画家のちばてつやさんと交流を持ち始め、その後、ちばさんが使う鉛筆を提供するようになった。その中で、ケント紙に描いた作品の多くが年月を経ると酸化・紙焼けしてボロボロになり、原画の保存にちばさんが悩んでいることを知った。

 ちばさんの原画を越前和紙に…

この記事は有料記事です。残り785文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    永井靖二
    (朝日新聞編集委員=近現代史)
    2023年4月30日13時0分 投稿
    【視点】

    越前和紙の手すきの技術と伝統は、2013年に死去したドキュメンタリー監督、姫田忠義さんの記録映像「越前和紙」(1990年)に残されました。地元の岡太神社や大瀧神社には、“紙の神様”がまつられていることでも有名です。しかし、和紙の手すきに欠か

    …続きを読む