売れない穀物に農家悲鳴 ウクライナを支えるポーランドで高まる不満

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ワルシャワ=寺西和男
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 中欧の農業大国ポーランドに隣国ウクライナから大量の穀物が流入し、大きな問題になっている。ポーランドは最も熱心なウクライナ支援国の一つだが、農家が打撃を受けて「国民を犠牲にしてまで助ける必要はない」との声も出ている。今秋の総選挙を控え、今後のウクライナ関係への影響が注目される。

 首都ワルシャワから車で約3時間、ポーランド南東部のウィソボーディ村では菜の花などの畑が広がる。5月中旬、農業を営むアンジェイ・ブガイスキさん(39)の自宅敷地内の倉庫を訪れると、袋に入った11トンものソバの実が山積みになり、穀物を貯蔵するサイロには小麦や菜種がたまっていた。いずれも昨年8~9月に収穫したものだ。

 「売りたいけど価格が下がるばかりなので、上がるのを待っている。でも間もなく今年の収穫が始まるので、いつまでも置いておくわけにいかない」と頭を抱える。5月に入り、仕方なく売った小麦の価格は昨年秋より4割ほど安かったという。小麦だけでも年間売り上げは前年より6万5千ズロチ(約215万円)ほど減る見込みだが、政府からの支援は1万ズロチ(約33万円)のみだという。

 近くの農家のマルチン・バラスさん(36)の倉庫でも小麦200トンと菜種100トンが山積みになっていた。

ウクライナへの「連帯レーン」設置も 穀物400万㌧が滞留 

 「ウクライナの穀物をどうにかしてほしい」

 農家の頭を悩ませている小麦…

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    吉岡桂子
    (朝日新聞記者=中国など国際関係)
    2023年6月1日11時0分 投稿
    【視点】

    中国と欧州と結ぶ貨物列車「中欧班列」にとってポーランドは欧州へ入る要衝。ポーランドから貨物列車で中国に輸出するわけにはいかないのでしょうか? ウクライナ便は戦争で運休していますが、ポーランド経由欧州便は動いています。14億人を抱える中国に

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