ウクライナ侵攻が生んだ深刻なゆがみ サハリン州のドローン飛行禁止
プーチン大統領が勤務するロシア権力の中枢クレムリンを5月3日に襲ったドローン(無人航空機)攻撃は、世界に衝撃を走らせた。一方で、その直前に極東のサハリン州が、北方領土を含めて管轄域内のドローン飛行を原則的に禁止していたことは、あまり知られていない。
この禁止措置こそ実は、昨年2月以来のウクライナ侵攻がロシア社会に生んだ深刻なゆがみを、鋭く象徴しているように思われる。
5月1日のメーデーから9日の第2次世界大戦対独戦勝記念日までの大型連休中のドローンによるテロを警戒し、ロシアでは特定の地方構成体に飛行禁止令が出されていた。クレムリンが攻撃されると発令の数が急増し、83ある構成体のうちの50以上にも及んでいる。
現地の報道などによると、サハリン州も飛行禁止令を4月25日に出した。サハリン本島と北方領土の国後、択捉両島のごく一部に設定された飛行可能区域と、国や地方政府から許可を得た場合などを除き、ドローン飛行は無期限で禁止される。違反すると、たとえば法人には最高で50万ルーブル(約87万円)の罰金や、最大90日までの活動停止措置が科せられることになる。
自然が豊かなサハリン州で、ドローンは美しい景観や貴重な動植物の撮影に積極的に使われ、住民に人気があった。地元の動向もあり、同州では州都ユジノサハリンスクにある海洋研究機器設計局内の施設で、ドローンを製造する計画が昨年から動き出している。
だが、特異なのは計画の方向…
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