KADOKAWA元専務、贈賄罪の起訴内容認める 五輪汚職
東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で、大会組織委員会の元理事に約6900万円の賄賂を渡したとして贈賄罪に問われた出版大手「KADOKAWA」の元専務・芳原世幸被告(65)の初公判が1日、東京地裁であった。芳原元専務は起訴内容を「認めます」と述べた。
検察側の冒頭陳述によると、組織委元理事の高橋治之被告(79)=受託収賄罪で起訴=の側からスポンサーに選定する見返りを要求された時点で、芳原元専務は賄賂にあたる可能性を認識した。
社内では「のむかのまないかで(結果が)大きく変わってくる」と心情を吐露。会長だった角川歴彦(つぐひこ)被告(79)=贈賄罪で起訴=に、違法行為になるリスクを説明した上で、コンサル料を装って支払うことを報告し、了承を得たという。
芳原元専務は、森喜朗・組織委元会長や高橋元理事との会談が決まると、角川元会長に「(元理事への)具体的なお願いは控えてください」と進言した。角川元会長は「そんなのは分かってるよ」と答えたという。
KADOKAWA側は、元五輪担当室長の馬庭教二被告(63)を含む計3人が贈賄罪で起訴された。3月に公判が始まった馬庭元室長は起訴内容を認め、今月15日に判決が予定されている。角川元会長は一貫して否認しており、公判日程は決まっていない。
一連の事件では、5ルートで計15人が起訴された。これまでに紳士服大手「AOKI」の前会長ら3人と、広告大手「ADKホールディングス」の元幹部2人の計5人について、贈賄罪での有罪判決が確定している。
高橋元理事は5ルートで計約2億円の賄賂を受け取ったという起訴内容を否認しており、公判の見通しは立っていない。(横山輝)