韓国民団を脅し有罪判決「あんなバカなことは…」 判決前の取材に
在日本大韓民国民団(民団)の徳島県地方本部に銃撃をほのめかす脅迫状が届いた事件で、徳島地裁(細包〈ほそかね〉寛敏裁判官)は31日、脅迫罪に問われた徳島市大原町の被告の男(40)に懲役10カ月執行猶予4年の判決を言い渡した。踏み込んだ表現で犯行を非難した判決に、民団関係者からは「私たちが言いたいことを述べてくれた」と評価する声が上がった。
判決後、民団中央本部人権擁護委員会が、徳島市内で記者会見を開いた。「ヘイトクライム」という言葉は使わなかったものの、「脅迫文言は差別意識を強くうかがわせる言葉」「出自や所属のみによって標的」といった表現で犯行を非難した今回の判決を一定評価する声が相次いだ。
法廷で意見陳述した徳島民団の姜盛文(カンスンムン)団長は「裁判官は私たちが言いたいことをうまく、しっかりと言ってくれた」と評価し、「(判決が)社会的メッセージとしてどれだけ抑止力になるか分からないが、少しでも予防注射的な形になれば。二度とこういうことが起きてほしくない。安心して暮らせる日本になってほしい」と期待を込めた。
さらに「一番怖いのは警察がなにもせず、マスコミが興味を持たず、被害者が泣き寝入りする社会だ」と述べ、「今回は地元の徳島のみなさんが一生懸命に動き、私たち外国人住民を日本人と同じように守ってくれたことに大きな意味がある」と話した。
同委員会の李根茁(イクンチュル)委員長も「今ある法律でしか裁けないなかで、検事も裁判官も最善を尽くしてくれた」と一定の評価を示した。被害者側代理人として活動した殷勇基(ウンヨンギ)弁護士は「『差別』という言葉を使ったのは前進。罰金刑もありえるかと思っていたところ、懲役刑だったし、4年と長い保護観察もついた。脅迫罪の枠内では相場より重く処罰されたと思う」と語った。
一方で、同委員会の薛幸夫(ソルヘンブ)副委員長は「日本社会のもつ病巣みたいなものが露呈した。韓国、朝鮮、アジア各国に対する差別感情が地下茎のようにはびこり、そこから悪の花が咲いたのが今回の事件。日本社会のあり方自体を変えていかないとこの悪の花は(これからも)頻出する」と懸念を示したうえで、「量刑面で司直の現場の駆け引きはあるのかもしれないが、(それよりも)ヘイトクライムと明示して欲しかった」と話した。(東孝司、宮坂知樹)
■「今だったら、あんなバカな…
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