元米高官が指摘する日米の共通課題 中国との相互依存への向き合い方
日本の政府は中国を念頭に、防衛力を強化しようとしています。台湾有事を見据えて軍の再編を進める米国は日本の動きをどう見ているのでしょうか。米国の有力シンクタンクで外交に影響を及ぼしてきた米戦略国際問題研究所(CSIS)のクリストファー・ジョンストン日本部長に聞きました。同氏は元ホワイトハウス高官で、中国への対応について日米が共通の悩みを抱えていると指摘します。
――日本政府が反撃能力を保持すると決めたことを、どのように評価しますか。
非常に重要な決定です。抑止に積極的な貢献を果たすでしょう。例えば、在日米軍基地へのミサイル攻撃に対し日本が反撃する可能性があれば、非常に重要な変数になります。北京と平壌は新しい変数を考慮しなければならず、武力行使の決定を困難にする可能性があります。
実施はかなり複雑な問題を伴います。日本は短期的には米国からトマホーク巡航ミサイルを取得します。長期的には日本が12式地対艦誘導弾を長射程化し、新たに極超音速ミサイルなどを開発します。
情報収集や偵察、目標選定や相手の損害評価については、当初はほぼ米国の能力に頼ることになります。この分野で実行力を持つには時間がかかるでしょう。日米で実施のための作業が始まっています。
Christopher・Johnstone
米戦略国際問題研究所(CSIS)日本部長。米中央情報局(CIA)、国防総省などを経て、バイデン政権で国家安全保障会議(NSC)東アジア部長。オバマ政権のNSCでは日本部長を務めた。プリンストン大院修了。
広がる「ミサイル・ギャップ」
――相手のミサイルの移動発射台などを攻撃するのは難しいので、反撃能力は意味がないという指摘もあります。
日米による反撃能力には意味…