第8回離島やまちの本屋「うわあ、生きている」 訪ね歩いて出会う本と世界

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聞き手・伊藤良渓 小林直子
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 家にいながら、本を買って読むことができるようになった。変わりつつある書店の役割、変わらない本の魅力とは。朝日新聞のサイト「好書好日」で書店をめぐる連載「本屋は生きている」を執筆中のライター、朴順梨(ぱくすに)さん(50)に聞いた。

自分と世界をつなぐ場所

 ――本や書店にまつわる思い出はありますか

 家の近所のスーパーの行き帰りに総合書店がありました。漫画好きの姉の影響もあり、私は「つる姫じゃ~っ!」というギャグ漫画が好きでした。

 中学校に入ったとき、時代はバンドブームの始まる頃。ヘビーメタルがはやっていて、自分もよく聞いていました。その書店のアルバイトさんが音楽に詳しくて、よく行って話していました。いま考えたら営業妨害もいいところですね。

 でも、そこが自分と世界をつなぐ場所だったと思います。

「やめないで」 無責任には言えない

 ――離島の書店を取材した本を、2013年に刊行されています

 当時、本屋大賞を応援するフリーペーパー「LOVE書店!」の編集をしていました。「離島の本屋の店先で、おばあちゃんやおじいちゃんと日がなしゃべるのって楽しそうですよね」。そんな雑談から生まれた企画でした。

 取材に行った後、数年経って「店を閉める」と連絡をいただくことも多い。でも無責任に「やめないでくださいよ」なんて言えないんです。書店があった方がいいと思う半面、なくなるには、それなりの理由があります。「肩の荷が下りた」とおっしゃる方もいる。なくならないことだけが正解じゃない、と思うようになりました。

 ――20年5月からは、好書好日で「本屋は生きている」を連載しています

 取材に行くと必ず、知らない本をすすめてもらえるんです。サイトの検索窓には、タイトルを死ぬまで打ち込むことがなかっただろうな、という本。

 先日行った名古屋の書店では、大正生まれの女性が戦争体験をつづった本を買いました。地元出版社の本でした。本屋さんは、そういう出会いがある場所。

 体系立てて「これを読んだら次はこの本」と読み進めていくのもすごく楽しいこと。でも似たような本ばかり集まるということもあります。私の母は大の本好きで、「もう読むものがなくなっちゃった」とよく言っていました。そういう人こそ、本屋さんに行くべきだと思います。

「独立系書店」の発展

 ――「独立系書店」と呼ばれ…

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