第5回禁じ手で防衛費調達、論戦なき大転換 財政法は「風前のともしび」か
千葉卓朗
岸田政権が進める防衛力強化で戦後日本の基本政策を転換したのは、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有だけではない。これまで政府が封じていた借金による防衛費の調達にも踏み込んだ。この動きも、憲法を形骸化させかねない。
「かつて日本は戦時国債を乱発し、軍拡も戦線拡大もとめられずに敗戦し、財政も破綻(はたん)状態となった」「建設国債での防衛費調達を撤回する考えはないか」
立憲民主党の泉健太代表は1月25日の衆院本会議で、岸田文雄首相に対応を求めた。建設国債から初めて防衛関連予算に4343億円をあてる方針を政府が示していたためだ。歴代の政権が「公債を軍事目的に活用することは絶対に致しません」(1965年、佐藤栄作内閣の福田赳夫蔵相答弁)としてきた方針からの大転換となる。
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