戴冠式参列で秋篠宮ご夫妻が訪英 皇室と英王室が培ってきたものとは
多田晃子
1998年、天皇、皇后両陛下として上皇ご夫妻が英国を訪れた時のこと。
「無名戦士の墓」があるウェストミンスター寺院に到着したご夫妻が車から降りると、道の反対側に元戦争捕虜らが立って、抗議の意思を示していた。
「すぐに建物にお入り下さい」
駐英大使として現地でご夫妻を迎えた林貞行さん(85)が声を掛けたが、上皇さまはじっと向き合ったまま動かない。
上皇后美智子さまもそばで寄り添っている。
時間にして数十秒ほどだったが、「ものすごく長い時間に感じた」と林さんは振り返る。
「これが皇室の国際親善なのか」
後日、現場にいたであろう元戦争捕虜が「天皇が見てくれたことで、自分たちの気持ちをわかってくれたと感じた」と話したことを知った。
あなたのことは分かっていますよ――。林さんは言葉に出さずとも相手に寄り添っていることが、あのわずかな時間で伝わったのだと感じた。
外交官や政治家ではなしえない寄り添い方と、相手への伝わり方。
「これが皇室の国際親善なのか」
英チャールズ国王の戴冠式に秋篠宮ご夫妻が参列した。平和と友好に、皇室の国際親善が果たす役割とはーー。
「戦争により人々の受けた傷を思う時、深い心の痛みを覚えます」
その夜の晩餐(ばんさん)会…
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