枚方市が市民の問い合わせにChatGPT活用へ検証
様々な分野で活用が広がっている対話型AI(人工知能)「ChatGPT(チャットGPT)」。大阪府枚方市は、市民からのよくある質問(FAQ)や市民からのメールによる問い合わせへの回答を、チャットGPTで自動生成する実証実験を始める。5~8月に人による回答と比較するなどして、実際に活用できるかを検証する。
市広聴相談課によると、市のコールセンターへの問い合わせ件数は、2022年度は電話で約28万件あり、3年前より2万件ほど増えた。メールも731件と3倍近くになった。
委託業者のスタッフが最大10人で対応しているが、内容が多様化し、FAQの作成やメールでの回答業務の負担増が課題だった。
現在あるFAQは2100件。実験では、IT企業「グラファー」(東京)と連携し、同社のAI技術とチャットGPTを組み合わせて活用して、今後必要と予想されるFAQを新たに400件自動生成する。
問い合わせメールへの回答案も自動で作り、回答にかかる時間や内容などを人の場合と比較。将来的に市民の問い合わせに対応できるかを検証する。氏名や連絡先などの個人情報は検証作業から外し、職員の操作履歴を記録するなど安全性も確保していくという。
市の担当者は「4年ほど前からFAQを充実させるため民間企業に連携を呼びかけていたが、チャットGPTの登場前と後では技術レベルが違う。ようやく検証ができる」と期待する。
自治体によるチャットGPTの活用を巡っては、神奈川県横須賀市が4月、試験的に導入すると発表。イベントのキャッチフレーズ作成や議事録の要約といった業務への活用を想定しているという。東京都の小池百合子知事も、業務への導入に向けた検討をしていることを明らかにした。一方で、鳥取県の平井伸治知事は、政策策定といった業務で職員が使用することを禁止すると表明。自治体によって対応が分かれている。(島脇健史)
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