避難所で一夜、自宅の片付けに向かう人々 能登地方の雨への対応も
震度6強の地震が襲った石川県珠洲市は本州で最も人口が少ない市だ。65歳以上の割合は52・8%(昨年10月1日時点)と県内で最も高い。
6日早朝、避難所となった市中心部の正院公民館では地元の人がみそ汁を振る舞い、避難した高齢者らが語り合いながら朝食をとっていた。5日午後10時前の震度5強の地震で避難者は一気に増え、多いときは約70人に上った。駐車場で車に乗ったまま一夜を明かす人もいた。
続く揺れへの不安から避難していた女性(62)は「何回も揺れて、大きさも長さも前回と全然違った。こんなの初めて」と話した。女性は6日朝、自宅の片付けに向かった。「夜はどうしようか。避難所に戻るかどうかを考えています」
市内の別の公民館に避難した稲荷美能子(みのこ)さん(78)は、4年前に夫を亡くしてから一人暮らしだ。5日の地震では自宅のタンスが倒れた。頻発する地震のため、ヘルメットと防寒具を枕元に置いて寝ているという。震度3程度では驚かなくなったが、「いつなんどき起こるか分からない」との不安は消えない。
現地では午前7時前から雨が降り出した。近くに住む男性(75)は「これから雨が続くと聞いて、片づけができるか心配している」と困り顔だった。
住民らは、壊れた自宅の屋根にブルーシートを張るなど雨への対応に追われていた。
呉服店の片付けをしていた出場康仁さん(55)は、昨夜のうちにガラスが割れた戸の代わりにブルーシートを張り、寝たのは午前3時だった。「直しても直しても、また地震が来るかも知れない。悲しくなる」と疲れ切っていた。
沢田洋子(なだこ)さん(81)の自宅は、屋根瓦や室内の土壁がはがれ落ち、台所の棚も倒れた。水道の漏水で元栓を閉めたため、水洗トイレも風呂も使えないという。「雨漏りが心配だが、どうすればいいかわからない」と途方に暮れていた。
市内の一部地域では断水や水道水の濁りなどがあり、市が小学校などに給水車を派遣。住民らがペットボトルや給水タンクを持って次々と訪れていた。(竹田和博、小島弘之)
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