米国のバイデン大統領は、オバマ元大統領が掲げた「核なき世界」の理念を継承していると言われますが、バイデン政権のもとでの核軍縮の動きは停滞しています。オバマ政権で核政策担当特別補佐官などを務め、副大統領時代のバイデン氏の特別顧問でもあったジョン・ウォルフスタール氏に、バイデン氏の政策や、米国の「核の傘」の下にある日本の影響をどうみるか、聞きました。
――バイデン氏は大統領選で、核攻撃に対する抑止と報復のみに使用を限定する「唯一目的化」を掲げていましたが、就任後はそうした持論を控えています。バイデン氏の核をめぐる立場をどう見ますか。
バイデン氏は、核兵器が役に立つものか、価値があるものかについて、懐疑的な立場です。私はバイデン氏とやりとりするなかで、我々が必要以上に多くの核兵器を持っているという事実や、戦争における核抑止力や核使用の背後にある論理は本当は論理的ではないということについて、彼が非常に現実的に考えていると感じました。ですから通常の状況であれば、バイデン氏は核兵器の役割を減らすためにより積極的に動いていたでしょう。
しかしバイデン氏はイデオロ…