寂聴さんは「みんなのお母さん」 言葉を紡ぐ作家と歌手に通じる思い
加藤登紀子さんに聞く⑥
2021年11月9日に99歳で亡くなった瀬戸内寂聴さんは、多くの人たちを言葉で励ましてきた。歌手の加藤登紀子さん(79)は歌を紡ぎ、多くの人たちに感動を与えてきた。言葉と歌、そこには作家と歌手に共通する思いがある。
――寂聴さんは法話を続けてきましたが、その原動力は何だと思いますか。
地位としてのお坊さんではなく、お坊さんとしての営みをひたすら果たし続けていたと思います。かつての法然や親鸞のように、人々の暮らしに溶け込んでいます。困った人たちを訪ねて、本当の姿を見て、その人たちの心の奥底に入って、救ってきました。
湾岸戦争のときにイラクに薬を届けに行ったのも、東日本大震災の被災地を回ったのもそうですよね。何かあれば飛んでいき、自分の足で歩き、自分の目で確かめる。そういうやり方を選んだのですね。
仏教は、常識やモラル、制度を超えて、人間の根源に向き合います。寂聴さんは身をもって、そのことを教えてくれました。今の仏教界の人たちにも見習ってほしいと思います。
――なぜ、寂聴さんは行動に移せたのでしょうか。
寂聴さんはなぜ法話を続け、加藤さんはなぜ歌を作り続けるのでしょうか。記事の後半で加藤さんが歌への思いを語ります。
人に会うこと、困っている人…
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