J・プライスさんの思い出 辻惟雄さん「若冲を探し回る米国人!」

有料記事

構成 編集委員・大西若人
[PR]

 江戸時代の奇想の画家・伊藤若冲(じゃくちゅう)らのコレクションで知られた米国の美術収集家ジョー・プライスさんが先月13日、93歳で亡くなった。その日本美術史上の貢献について、若冲研究の第一人者、辻惟雄(のぶお)・東京大名誉教授(90)が語った。

 日本人が忘れていた天才画家・若冲の素晴らしさを思い起こさせたということ、これがプライスさんの大きな功績です。申し訳ないことに私のことを、若冲を現代によみがえらせたなどと言う方がおられますが、実はタッチの差で、三つ年上の彼が第一発見者だったんだと思います。

 私は若冲という非凡な画家がいたことを大正末期に出た図録で知るんですが、実物を見る機会がなかった。東京国立文化財研究所に勤めていた1960年代、ある米国人が東京や京都の古美術商で若冲を探し回っている、といううわさが流れてきた。

 気になった私は64年ごろ彼…

この記事は有料記事です。残り714文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません