焼くとふっくら、ご飯のお供に最適 若狭おばま醬油干し
■北陸100年フード
古くは御食国(みけつくに)、その後は京の都へ海産物を届け、質の高い食文化が形成された福井県小浜市。県南西部の若狭地方は、海辺付近まで山々が迫るリアス式海岸が続く。山から流れる豊富な栄養分と、暖流と寒流がぶつかることからも多種多様な魚が取れる漁場だ。その小浜では、長年、魚を醬油(しょうゆ)干しとして食べる風習が受け継がれている。
4月下旬、海から上がったばかりの地元の魚が集まる「若狭小浜お魚センター」を訪れた。鮮魚店や飲食店が並び、その施設内で干物の「リピーター率」が最も高いと言われる魚安商店をのぞいた。
店先の網台には、のど黒、フグ、カサゴ、カワハギなど10種類近くの魚が並んでいた。店主の毛利昌一さん(46)によると、小浜では、鮮魚や海産物を一般的な塩干しではなく、醬油ベースの調味液に漬け、干して食べるのが習慣だそうだ。
同店では、その日の朝に取れた新鮮な魚をさばき、醬油に漬け、店が開店するまでの1~2時間を店先の網に並べ、浜風で「朝干し」する。
シンプルな加工品だが、魚の風味やうまみを損なうことなく味わえる。毛利さんは、普通の干物と比べ、「焼くとふっくら、ジューシーに仕上がり、ごはんのお供に最適」と話す。店によっては、みりんなどの調味料を加えるほか、干す時間もさまざまだという。
地域の食文化の継承を目指し、文化庁が認定する「100年フード」。北陸には16件が認められ、そのうちの6件を紹介します。
毛利さんの店では、年間を通…
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