デジタルプラットフォームの登場は、政治統制や国境を越え、市民が「連帯」する場を作り出した。
2010年から起きた、政治腐敗防止への抗議活動「アラブの春」は、政府の情報統制下にある既存メディアを飛び越え、SNSが市民連帯の原動力となった。性暴力などを訴える「#MeToo」も米国から世界に拡散した。日本でも、検察幹部の定年を政府判断で延長できるようにする検察庁法改正案をめぐり、俳優の小泉今日子さんらが「#検察庁法改正に抗議します」と発信。これらは、市民の社会運動を促す「ハッシュタグ・アクティビズム」などと呼ばれた。
一方、政治家にとってもデジタル空間は報道機関を介さず発信でき、魅力的だ。自民党内でもツイッター発信が多い高市早苗・経済安全保障担当相は「マスコミにたたかれ、不本意でも反論するすべがなかった。ツイッターなどは反論の場を提供してくれる」と話す。放送法の政治的公平性に関する総務省の行政文書をめぐり、国会で野党から追及を受けた3月、高市氏は「一方的に私を批判して悪人イメージを植え付け、私は挙手しても答弁はさせて頂けず。辛(つら)過ぎます」と発信。これに10万超の「いいね」が押され、約3万のリツイートがあった。
過激な発信に「いいね」 ネットサポーターから喝采
自民が「ネット世論」に着目したのは野党時代の2010年だ。党員でなくとも加入できる党公認のボランティア組織「自民党ネットサポーターズクラブ(J―NSC)」を創設した。
民主党への攻勢を強めていた…