第21回有害投稿を放置、ビッグテックの責任は 米最高裁も巻き込む遺族訴訟

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編集委員・五十嵐大介=サンフランシスコ 鈴木康朗 渡辺淳基
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 大手SNSなどのプラットフォーマーはこれまで、利用者の投稿の内容への責任を負うことなく、成長してきた。だが、「公共空間」としての役割が増し、偽情報などの問題が広がるなか、インターネットの性質を大きく変えうる議論が起きている。

 2015年11月、パリのビストロ。デザインの勉強のため短期留学していた米国人ノエミ・ゴンザレスさん(当時23)は、友人らと夕食を取っていた。店に着いてまもなく、過激派組織「イスラム国」(IS)のテロリストがビストロを襲撃。一連のテロで、ノエミさん含め130人が犠牲になった。

 翌16年、ノエミさんの父ら遺族は、グーグルなどを訴えた。動画投稿サイト「ユーチューブ」などのSNSが、ISが過激なプロパガンダ広告を拡散して資金や人員を集める支援をしたとして、愛国者法(反テロ法)に違反するとの内容だった。

 「お父さんは娘への正義を問いたかった。そこが何よりの原点だ」。ノエミさんの遺族の弁護を一審から続けてきたキース・アルトマン弁護士は、そう話す。

 訴訟は地裁、控訴裁ともに、ネット事業者がプラットフォーム上の投稿の責任を負わなくていいとする「通信品位法230条」を理由に原告の訴えを退けた。

「投稿責任の免除」は時代遅れか

 この訴訟がいま、米国で大き…

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