天然記念物のオオワシ、相次ぐ列車事故のワケは 鍵握るのはエゾシカ

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山本智之
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 国の天然記念物に指定されているオオワシなどのワシ類が列車事故に遭うケースが、北海道内で相次いでいる。研究者が調査をしたところ、エゾシカの存在が事故の引き金になっている実態が浮き彫りになった。

エゾシカがなぜ、ワシ類の事故を引き起こすのか。事故に至る構図は、ある学芸員の調査で明らかになりました。記事後半で詳報しています。

 環境省北海道地方環境事務所によると、北海道内で列車事故でワシ類が死傷して収容された事例は、2021年度だけでオオワシが12件、オジロワシが11件にのぼる。

 オオワシ、オジロワシともに、車による交通事故などを上回り、列車事故が収容原因のトップだった。両種はともに「絶滅の危険が増大している種」として、環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。

 根室市歴史と自然の資料館の外山雅大・学芸員(45)は、現状を把握して対策につなげようと2019年から実態調査を始めた。

 北海道東部を走るJR花咲線を対象に、実際に事故が起きた地点を地図上にプロットして分析した。その結果、エゾシカの分布域の季節ごとの変化と、ワシの列車事故の発生地点との間に関係性があることが分かった。

カメラ観察で見えたオオワシの実態

 外山さんは「エゾシカは冬季…

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