母の日にはフルーツを 4人を育てる母に「ありがとう」が言いたくて
貞国聖子
母は、夜遅くまで働いてヘトヘトで帰ってくることもある。
それでも、朝早くから好物の竜田揚げを揚げてくれる。白飯をぎっしり敷き詰めた上に、たっぷりおかずを載せたお弁当。ふたを自分でギュウギュウ押して持って行くと、時々汁漏れする。
底抜けに明るい母は、出掛けた先で困ったことがあっても、すぐ周りの人に声を掛けて聞いてくれる。そんな母がいつも心強い。
高校2年生で野球部の僕と、2人の姉、そして妹。食卓の一番奥の席には、父の写真を置いている。
父との別れは小学4年生の時。血液の病気だった。突然で、最後の言葉を交わすこともできなかった。
「頭がおかしくなったみたい」
学校で気軽に友だちに言える…
- 【視点】
母親への思い、父親への思い。高2の少年の気持ちが率直に伝わってきて、読みながらしんみりとした母の日の朝を迎えた。私自身、中学時代に父とは離別、その後20代半ばで母を亡くしたが、今だに親を思うと涙が滲むし、複雑な思いが頭の中を交錯する。それで
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