テキストを打ち込むだけで、簡単にイラストが作れる画像生成AI。創作の機会を広げる一方、イラストや画像を投稿したり、販売したりするサイトでは、AI作品を受け入れるか否かで対応が分かれ、米国では著作権侵害をめぐる訴訟も起きています。新技術の社会実装に伴うリスクについて研究する大阪大の岸本充生教授に、画像生成AIの課題について聞きました。
――画像生成AIは、著作権上の問題が多く指摘されています。
著作権については、①AIの訓練に使うデータの無許可での利用②AIを使った生成物の著作権の有無、が論点になっています。画像生成AIについての議論は、こうした著作権に集中しており、ほかの論点が忘れられているような印象があります。
――ほかにはどんな論点がありますか。
バイアス(偏見)の問題があります。例えば「CEO」(最高経営責任者)と入力すると、男性の画像ばかりになったり、「看護師」だと、女性の画像ばかりになったり、といったものです。その結果、人種やジェンダー、外見などへの先入観を強めてしまうことで差別や偏見を助長する恐れがあります。
グーグルの翻訳機能が出たときも同じような問題が起きました。当初、日本語で「医者」と入力すると、英語で「He」と出てきました。指摘を受け、「He/She」などと性別への偏見が解消されました。
――画像生成AIも同じようにバイアスがなくなっていくのでしょうか。
画像生成AIのバイアスの解消は、性別のバイアスを中立にする翻訳とは違う難しさがあると思います。
映像や画像の中から人を判断…
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- 【視点】
目から鱗だったのが、「逆にデータ化されていないことで、生成AIから守られるという見方もできます」というご指摘です。 様々な資料館や博物館で古典作品も地域資料もアーカイブ化・データベ―ス化が進みますが、それをネット上で広く公開し、滑らかにひ
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