衆人環視の中の強盗、指摘される幼稚さ なぜ高級腕時計が狙われたか
東京・銀座で起きた強盗事件は、発生から逃走、逮捕までの一部始終が通行人らの衆人環視の中で行われた。
8日午後6時18分ごろ。銀座通りにある高級腕時計ブランド「ロレックス」専門店に3人組が押し入った。全員が全身黒ずくめで、白い仮面をかぶっていた。
人通りが絶えない銀座の真ん中。多くの人がガラス越しに店内をのぞき込み、3人組がショーケースをたたき割って腕時計をバッグに詰め込む姿にスマートフォンのカメラを向けた。一人の女性は店の扉を閉め、3人組を閉じ込めようとした。
運転役が通りに止めたワンボックスカーに3人組が駆け込むと、人々はまたカメラを向けた。車のナンバーも映り、SNSに投稿された。
車は赤信号を無視して逃走し、約1・5キロ離れた交差点を猛スピードで右折した。東京の中心の通りで、周囲には多数の防犯カメラがある。
パトカーが緊急配備の対象と気付いて追跡。一度は見失ったが、付近に大量の捜査員を投入した警視庁は、さらに約1キロ先の港区赤坂8丁目の路地に止められた無人の逃走車両を発見した。
逃走車両から飛び出してマンションに逃げ込む4人の姿は、近くのカメラに捉えられていた。4人が捜査員に確保されるまでに時間はかからなかった。ベランダの手すりに立ち、靴を投げる男が「飛び降りるな」と説得されて確保され、別の男が植え込みで数人がかりで取り押さえられた姿は、通行人のカメラで映された。その動画もSNSに上げられ、拡散された。
「軽いノリ、幼稚な犯行」
邸宅侵入容疑などで逮捕された4人は16~19歳の少年だった。奪った商品は全て発見、回収された。
立正大の小宮信夫教授(犯罪学)は「ただ幼稚で何の計画性もない。素人が金に目がくらみ何も考えずに軽いノリでやった犯行だ。犯罪のシミュレーションができていない」と話す。その上で「元締がいるなど誰かに入れ知恵された可能性がある」と言う。現場に居合わせた人には「巻き込まれないよう離れることも必要」と忠告する。
警視庁は指示役がいたとみているが、4人は強盗事件の経緯について供述していないという。捜査関係者の一人は「強く口止めされているのでは」と推測し、犯罪に精通した人物が背後にいる可能性を指摘する。(増山祐史、佐野楓)
御徒町でも相次ぐ
高級腕時計を狙った強盗事件は3月以降、都内で少なくとも3件続いていた。現場はいずれも台東区のJR御徒町駅近くで、工具でショーケースをたたき割る手口も同じだった。
なぜ腕時計なのか。
貴金属買い取り店などを展開…
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- 【解説】
お恥ずかしい話だが、以前空き巣の被害に会い、自宅のサイドボードの上に置いてあったいくつかの腕時計の中でロレックス一本だけを持ち去られたことがある。空き巣の被害現場は荒らされて金目の物は全て持っていかれるようなイメージだが、今は発覚を遅れさせ
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