今の日本は「1980年代の欧米」 「核兵器との共存」考える時代に
牧野愛博
広島での先進7カ国首脳会議(G7サミット)。被爆地での開催で、核抑止や核廃絶に注目が集まりました。東京外国語大学の吉崎知典特任教授は、ロシアや中国、北朝鮮による核の脅威が現実化するなか、日本も冷戦末期に欧米で議論された「核兵器との共存」を考える時期に来ていると指摘します。
――核を巡る現状をどうみていますか。
日本はロシアと中国、北朝鮮の核の脅威と向き合っています。ロシアはウクライナ侵攻を巡り、核による恫喝(どうかつ)を繰り返しています。米国防総省は中国が2035年までに核弾頭を1500発まで増やす可能性があると指摘しました。北朝鮮は弾道ミサイル実験を繰り返し、7度目の核実験を行う可能性もあります。
まず、日本はこうした現状に…
- 【視点】
現在の戦略的状況が「冷戦時代に逆戻りした」というのは巷でもかなり激しく語られているテーマだが、日本と欧州諸国ではその感覚もかなり異なる。 やはり日本の場合、冷戦時代にアメリカの防衛システムによるガードがことさら手厚かった影響がいろいろな形で
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